区分マンションの空室対策

退去なんて怖くない!?

賃貸マンションの大家さんにとって、賃借人の退去は大変なリスクというイメージがあると思います。

しかし、下記に該当する物件の場合、賃貸人退去は必ずしもリスクではありません。むしろ資産価値アップのチャンスです。

なぜか?

結論からいうと、上記該当物件は【賃貸中】状態より【空室】状態の方が市場価値が高いからです。

つまり、空室対策なんてそもそもする必要がないのです。

賃貸中と空室、市場価格の違い

賃貸中物件と空室物件では、同じ物件でありながら扱われる売買市場そのものが異なります。

賃貸中物件を購入するのは、「投資家」です。

投資家は、基本的に物件を買うのに「利回り」を見て判断します。

空室物件を購入するのは、「実需客」です。

実需客は、基本的に物件を買うのに「月々の支払額」をベースに判断します。

「お金儲けの為に保有する方に売る市場」と「実際に自身が住む方に売る市場」とで、全く相場の形成され方が異なるのです。

さて、では何故空室の方が高く売れるのでしょうか。

主に三つの要因があげられます。

現在都心では、住宅供給が不足していると言われております。
その為、そもそも投資家より実需客の方が絶対数が多くあります。

さらに実需客は、
  「この地域でなければならない」
  「この間取り以上でなければならない」
  「この時期に住み始めなければならない」
  「この価格以内でないと買え無い」
などの需要をもっています。

そうなると当てはまる物件は限定され、その物件は当該客に対して希少性を持つことになり、高値でも売れるケースがでてきます。

対し、投資家は、物件の条件よりも「より利益が見込めること」のみに重きを置いて選択しますので、「安いものは売れるが高いものは売れない」という構図が顕著になります。

不動産売買において、多くの場合、金融機関のローンを用います。

  • 投資家は、【投資用ローン】
  • 実需客は、【住宅ローン】

さて、現在わが国では、国をあげて住宅政策がなされている程、居住用住宅の確保が優遇されている為、圧倒的に【住宅ローン】の方が審査が緩く、金利も安い、貸出額(物件評価)も多く見込めます。

「借りられる人間が多い」すなわち「需要が多い」わけで、価格も高騰しやすくなります。

また、投資用ローンは、貸出額の評価をする際に建物の残存耐用年数を大きく評価します。その為、投資用市場では建物の築年数が価格に大きく影響します。

 この点、住宅ローンでは、残存年数の評価より実勢価値と居住者属性を基準にしますので、投資用ローンと比べて年数による価値低下が緩い為、築年が古い物件であるほどにより空室売却の恩恵が受けやすいと言えます

一般に不動産の相場は、住宅ローン金利の影響を受けるものと言われています。

例えば、
3000万円の物件を 35年ローンで購入した場合、
・金利3.00%の場合、月々約115,000円の返済
・金利1.00%の場合、月々約85,000円の返済

これを言い換えると
月々115,000円支払える属性の方は、
・金利3.00%の場合、約3000万円まで借りられる
・金利1.00%の場合、約4000万円まで借りられる

同じ返済額でも、金利が数%異なるだけで、大きく購入上限が変動します。

実需客は、月々の支払額をベースに住宅を選ぶことが多いでしょう。
そうなると必然的に「金利が下がれば住宅価格は上がる」という図式になります。

①投資用物件(賃貸中)として売った場合

一般的に投資家さんが投資物件として購入検討する利回り基準は表面で6.5%(実質5.5%)程度と言われています。(都内の駅近物件、ターミナル駅は除く一般的な住宅地駅の場合)

例)35㎡1LDKの物件Aを、月々10万円で貸した場合
10万×12カ月=120万
120万÷0.065(利回り)=1850万

つまり物件Aの対投資家売却基準価格は、約1850万円となります。

②空室物件(居住用)として売った場合

居住用の場合、物件によって相場観は様々なので一概には言えませんが、上記の賃料と同じ月々10万円の予算で住宅購入した場合の売買価格を参考とします。

まず月々の管理費積立金を20,000円程度と仮定し、残り80,000円がローン返済に充てられる額と想定します。
2019年7月現在、住宅金融支援機構の35年ローン固定金利は1.21%です。
この利率で月々返済80,000円となる借入額は、およそ2700万円となります。
これに内装費や税金を約300万円を差し引いたとして、2400万円。

よって対実需客売却基準価格は2400万円という事になります。
対投資家価格1850万円とは、実に500万円以上の開きがあります。

つまり、物件Aの例では、
【賃貸客をつけてしまうと500万円以上資産価値が減る】という事になります。

より資産価値が高い物件の再購入